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エル・パーク仙台、エル・ソーラ仙台、せんだい男女共同参画財団
エル・パーク仙台とエル・ソーラ仙台は、2館で一つの「仙台市男女共同参画推進センター」。このセンターを指定管理者として運営しているのが、「公益財団法人せんだい男女共同参画財団(以下、財団)」です。男女共同参画の専管財団として、仙台市の男女共同参画推進を、ハードとソフトの両面から担っています。これまで積み上げてきた事業ノウハウや、ネットワークを駆使し、震災の発災直後から取り組んできた、支援の一部をご紹介します。
2011.3.11―そのときセンターは
「エル・パーク仙台」は、築24年(当時)の商業ビル「141ビル」の5階、6階にあります。地震の揺れによるスプリンクラーの破損で6階は水浸し、5階にも漏水しました。設備の一部が損傷したほか、壁面に多数の亀裂が入りました。一方「エル・ソーラ仙台」は仙台駅前「アエルビル」の28階、29階に位置し、揺れは非常に大きかったものの、建物自体への被害は幸い大きくありませんでした。それでも室内間仕切りや移動書架の一部が倒壊し、約2万冊の図書が書架から落下して床に散乱。両館とも、利用者、スタッフは全員無事でしたが、仙台市内の他の公共施設同様、翌日から休館することになりました。
まず始めたのは「電話相談」と「情報提供」
震災前から女性のための面接による相談は行われていました。しかし被害の深刻さが明らかになるにつれ、電話相談が早急に必要との認識から、「女性の悩み災害時緊急ダイヤル」を3月29日に立ち上げ。2011年7月23日までに受けた相談は324件です。「女性のための電話相談」に切り替えた後も、引き続き女性たちの悩みに応えてきました。
また、ホームページには「被災したわたしたちが“今、ここ”をのりきるために」という被災女性支援のためのポータルサイトを開設し、財団が取り組んでいる女性支援の情報や、なかなか表に出ない女性の声などを発信しました。2011年5月からは「わたしのペースでゆっくりと」にタイトルを変えて2013年5月まで掲載しました。
センターという「場」でつながる
被害の少なかったエル・ソーラ仙台の29階を、人が集まり話せる場所、ちょっとほっとできる場所にしようと、「こころと暮らしの立ち直りを支援するスペース」として2011年4月5日から開館しました。新聞のクリッピング掲示でボランティアや物資支援の情報収集をしたり、メッセージカードを書いて貼ったりもできるようにしました。エル・パーク仙台では、再開後、利用者にメッセージカードを渡したり、自分の気持ちをカードに書いて貼る「つながる掲示板」を設置するなど、「苦しさを抱えているのは自分だけではない」「誰かとつながっている」と感じてもらえる空間づくりをしています。
語り合いの場や“カフェ”も
震災以前に企画していた講座を、こころのケアなど震災に対応した内容に組み替え、「女性のエンパワーメントシリーズ ‘わたしをいたわる’から始めよう」「子育てママのこころの手当て」「30〜40代被災女性の語り合いの場 こころると〜く」などを開催。仮設住宅など、生活の場や地域コミュニティを離れ、周りに気がねなく安心して自分の感情を出せる場を提供しています。また2012年に入ってからは、「エル・パークカフェ」など、お茶を飲みながらちょっと一息つきませんか?というカフェ事業も展開。困難な生活を強いられている方々や、大きな被害を受けていなくても、いろいろな思いを抱えて生活している方々に寄り添う支援を行いました。
せんたくネットの活動
「せんたくネット」とは、「せん」だいの女性たちが被災した女性の本音を「たく」さんくみとって、一緒に解決する「ネット」ワーク。日頃から、市内で活動している女性たちと財団が、ともに支援に取り組みました。誰もが被災し傷つきを抱える中、女性が支援「する」側に立ち、復興の担い手となることでのエンパワーメントをめざす活動でもありました。
■洗濯代行
災害時に顕著に表れるジェンダー問題−女性エンパワーメントの視点から取り組みました
当初、仙台市内の避難所は主に小中学校に開設され、洗濯機が無く、男女別の物干し場もありませんでした。女性は家族のことを優先して自分のことは後回しにしがち。女性が女性の洗濯をする、ということをお伝えすれば、安心して自分自身の洗濯物を預けられると考え、洗濯代行サービスをはじめました。また、その中で女性の声を拾い、支援につなげていきました。
■ブラ・サニタリーを届けよう!
洗濯代行で訪れた避難所で聞いた、「自分に合うサイズの下着がない、サニタリーショーツは全くない」という声から企画。
全国から、自分のものを買うつもりで選んでくれた一枚一枚の下着が、約2,300枚も寄せられた。
■MDGガールズプロジェクト〜女子による女子のための震災ピアサポート
大人の女性と子どものはざまで、中高生に必要な支援が届いていないのでは?という思いから、立ち上げた。被災地外の同世代女子から10代の女子たちに、“自分がもらったらうれしいもの”を贈ってもらう企画。押さえこんでいた気持ちを少しでも解放できるよう、仙台の女子学生が寄り添った支援を行った。全国から10代女子に向け「物資ではなくプレゼント」を募り、全国、約200名以上からプレゼントが寄せられた。これらプレゼントは、「ティーンズの女子会」を開催し、そこで自由に選んでもらった。(協力 宮城学院女子大学、ドレメファッション芸術専門学校)
2011年3月29日 |
「女性の悩み災害時緊急ダイヤル」開設(〜7月23日)324件 |
4月3日 |
「被災女性支援のためのポータルサイト」を開設 |
4月5日 |
エル・ソーラ仙台開館(〜6月12日)
29階を「こころと暮らしの立ち直りを支援するスペース」として開放/エル・パーク仙台から市民活動スペース機能を一時移転/仙台フィルハーモニー管弦楽団の公開リハーサルも |
4月上旬 |
「せんたくネット」活動開始 |
4月17日 |
洗濯代行事業スタート(〜8月10日) |
5月下旬 |
ブラ・サニタリーを届けよう(〜6月17日) |
6月上旬 |
MDGガールズプロジェクト始動 |
6月16日 |
エル・パーク仙台5階部分再開 |
9月21日 |
エル・パーク仙台6階部分(ギャラリーホール、スタジオホール)再開 |
■避難所の方から
洗濯に困っていたときに大変お世話になりました。励ましの言葉や贈り物などもいただき、ありがとうございました。少しずつ前に進んでいきたいと思います。